過料と科料、罰金と反則金の違いについてまとめてみた
こんにちは、ジンです。
ところで、みなさんは過料、科料、罰金、反則金のそれぞれ違いについて説明できるでしょうか?
私もつい先日までは「どれも同じ意味で、人によって言い方が違うだけなんじゃないの?」と思っていました。
しかし、やはり気になったので、調べてみた結果。
どれも罰としてお金を払うことになるのですが、処分する期間や罪の重さなどは全く違うことが分かりましたので、今回は過料、科料、罰金、反則金の4つの違いについて解説します。
この4つ違いが分かれば、ニュース記事内で明記されている過料や罰金の意味が分かるので、ニュースをよりおもしろく見ることができますよ。
日産への過料適用を申請 横浜地裁に国交省 新車の無資格検査問題
米銀に罰金1千億円検討 ウェルズ・ファーゴ
また、スピード違反や駐車違反などで、警察にお世話になる時。
警官が「これは罰金!」、「これは反則金!」と、言ってきた時の言葉の意味が分かって便利ですよ(笑)
過料について
読み方 | かりょう |
---|---|
罰の種類 | 行政罰 |
前科の有無 | 前科は付かない |
支払う金額 | 処分する行政による |
過料(かりょう)は国、県、市区町村などの行政機関(自治体)が定める法律・条例などの違反者に対して科せられる金銭罰となります。
過料は条例違反者などに対する罰則なので、行政罰として扱われ、刑事訴訟されることもありません。
そして、刑事罰ではありませんので「前科」がつくことはありませんし、履歴書の賞罰に書く必要もありません。
また、過料にも2種類あって、裁判所が科すものと、地方自治体の長が科すものがあります。
前者については、裁判所が民事執行法に則って過料されます。
後者については、裁判所による強制力はないものの、税金滞納などど同じ自治体による自力執行権が認められています。(差し押えなどの処分ができる)
なお、過料は刑事事件ではなく、民事事件として扱われます。
過料が科せられる罪について
- 市民税の不申告
- 軽自動車税の不申告
- 固定資産税の不申告
- 事業所税の不申告
- 住民基本台帳法の定め違反(住民票の異動忘れ)
などの国、県、市区町村が定める条例を違反した場合。
なお、脱税、所得隠し、確定申告漏れなどは過料ではなく、5年以下の懲役や500万円以下の罰金となる刑事罰となります。
科料について
読み方 | かりょう とがりょうと読むこともある |
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罰の種類 | 刑事罰 |
前科の有無 | 前科が付く |
支払う金額 | 1,000円~10,000円まで |
科料(かりょう)は、刑法上最も軽い刑罰で1,000円~10,000円未満を納めさせる財産刑となります。
こちらは過料と違って、刑事罰となりますので前科が付きますし、履歴書の賞罰にも書く必要があります。
ただし、行政機関が保有する犯罪人名簿に記録される事はありません。
こちらはないかと思いますが、科料として命じられた金額を払う財力が無い場合は、労役所に留置されて、支払い金額分の労役を行う事になります。
科料が科せられる罪について
- 過失傷害罪
- 公然わいせつ罪
- 侮辱罪
- 器物破損
- 賭博罪(富くじ発売等)
- 信書隠匿罪
などの罪の中で、罪の内容自体が比較的軽度な場合は、科料がつくことになります。
なお、これより重い罪については、罰金または懲役刑になります。
罰金について
読み方 | ばっきん |
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罰の種類 | 刑事罰 |
前科の有無 | 前科が付く |
支払う金額 | 1万円以上 |
刑事罰により、科料の限度額である1万円を超える支払いを命じられた時は、罰金(ばっきん)となります。
罰金も科料と同じく、お金を納めさせる財産刑です。
罰金は刑事罰となりますので、科料と同じく前科が付きますし、履歴書の賞罰にも書く必要があります。
科料と違う点についてですが、罰金を受けた人は犯罪者名簿に記録されます。(罰金刑執行から5年間再犯が無ければ、記録から消される)
また、科料と同じく命じられた金額を払う財力が無い場合は、労役所に留置されて、支払い金額分の労役を行う事になります。
基本的に科料より重い財産刑が、罰金となります。
罰金が科せられる罪について
- 過失傷害罪
- 暴行罪
- 窃盗罪
- 公然わいせつ罪
- 侮辱罪
- 器物破損
- 賭博罪(富くじ発売等)
- 悪質な道路交通法違反
などの科料よりも重い罪になると、罰金となります。
科料にも過失傷害罪、公然わいせつ罪、侮辱罪はありますが、これは犯した罪の内容がひどい場合には科料ではなく、罰金となります。
ただし、これらの罪の内容が罰金でも償いきれないと裁判官に判断された場合は、懲役刑などのより重い罰になります。
なお、スピード違反や駐車違反などの交通法違反については、通常罰金にはなりません。
しかし、スピード違反中に警察の停止命令に応じない罪の事実を認めないなど、悪質な交通法違反と判断された場合は、罰金として処理されることがあります。
また、酒気帯び運転や無免許運転(免停中も含む)などの場合も、罰金となります。
反則金について
読み方 | はんそくきん |
---|---|
罰の種類 | 行政罰 |
前科の有無 | 前科は付かない |
支払う金額 | 3,000円~40,000円 |
反則金は、道路交通法違反者を簡易的な処分によって起訴免除する、行政罰です。
ですので、反則金さえ支払えば、過料と同じく前科が付くことはありませんし、履歴書の賞罰にも書く必要はありません。
ただし、悪質なスピード違反、酒気帯び運転、無免許運転(免停中も含む)、仮免許運転など、悪質な道路交通法違反については、反則金ではなく刑事罰にあたる罰金処分となります。
反則金が科せられる罪について
- スピード違反
- 信号無視
- 駐停車違反
- 追越し違反
- 積載物重量制限超過
- 無灯火運転
- 免許証不携帯
- 携帯電話使用運転
- 安全運転義務違反
- 泥はね運転
などの道路交通法違反をした場合。
また、これらの道路交通法違反をした場合は、反則金だけではなく違反点数も加算されます。
そして、違反点数が6点以上(1度の免停の前歴が無い場合)になると、一定期間の免許停止(免停)処分となります。
なお、速度50キロ以上オーバーしたスピード違反は、反則金ではなく罰金となり、違反点数も12点加算されて一発免停となります。
青切符で生じるのが反則金
道路交通法違反をして、警察に補導された時に交付されるのが切符です。
赤切符、青切符、白切符、のうち、青切符にあたるものが反則金となります。
なお、白切符は青切符よりも軽い罪の時に交付されて、反則金の無い違反点数加算のみの処分。
赤切符は青切符よりも、比較的重い違反に対して交付されて、違反の内容によっては罰金処分になる場合もあります。
まとめ
過料、科料、罰金、反則金については、下記のとおりです。
ポイント
- 過料は行政罰にあたり、前科などは付かず、履歴書の賞罰欄にも書く必要はない。
- 科料は刑事罰にあたり、前科も付くので、履歴所の賞罰欄に書く必要があるが、行政機関が保有する犯罪人名簿に記録される事はない。
- 罰金は科料より重い刑事罰にあたり、前科や行政機関が保有する犯罪人名簿にも記録される。
- 反則金は行政罰にあたり、道路交通法違反者に対して課せられる罰である。ただし、悪質な道路交通法違反に関しては、刑事罰となる罰金を課さられる事もある。
最後になりますが、罪の大きさや支払う金額の差はありますが、どれもルール違反したことによって背負った罰であることに変わりありません。
ですので、もし過料、科料、罰金、反則金を課せられた場合は逃れようとせず、きちんとお金を払って罪をつぐないましょう。
ただし、見えない所で見張っていて、停止線をタイヤの3分の1だけ超えた所で、反則金を取りに来る警察官。
てめーはダメだ(笑)
以上です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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